いぼ痔(痔核)
痔核は一般的には『いぼ痔』と呼ばれています。便秘や排便時のいきみなどで肛門に負担がかかり、肛門の静脈叢がうっ血していぼ状に膨らんで腫れている状態です。
男女差はなく40~60歳代に多くみられます。男女とも痔の中で内痔核が一番多くみられます。痔核は発生する部位によって内痔核と外痔核にわけられます。
内痔核
症状
- 排便時の出血
- 肛門から痔核が脱出してくる
内痔核ができる部位には知覚神経がないため痛みはありません。ただし痔核が大きく腫れあがって肛門から脱出し元に戻らなくなった状態(嵌頓痔核)や痔核の周囲の皮膚が切れたりすると痛みが生じることがあります。
原因
- 排便時に長時間いきむ、強くいきむ
- 便秘
- 長時間座りっぱなし
- 力仕事をする(腹圧がかかるため)
- 妊娠や出産
痔核の分類
1度
腫れが肛門内にとどまり、脱出しないものです。痛みはなく、排便時に出血することがあります。
2度
排便時に痔が肛門から脱出しますが、排便後には自然に元に戻ります(肛門の中へ戻ります)。排便時に出血することがあります。
3度
排便時に痔が肛門から脱出し、自然には戻らず、自分の指で押し込むと戻ります。痛みを伴ったり、排便時に出血することがあります。
4度
つねに痔が肛門街へ脱出している状態で(嵌頓痔核)、指で押し込んでも戻りません。嵌頓痔核は内痔核が脱出し括約筋に締め付けられ腫れあがったもので激しい痛みを伴います。
この内痔核は8割近く人が持っています。90%以上の人で手術が不要で生活習慣の見直しで治癒が可能です。
外痔核
原因
- いきみすぎる
- 便秘や下痢
- アルコールや辛いものの摂りすぎ
- 長時間座りっぱなし
- 重いものを持ったりしたとき
- 冷えやストレス
症状
- 激しい痛みとはれ
外痔核ができる部位には知覚神経があるため激しい痛みを伴うことがありますが、出血は少ないです。
治療
座薬や軟膏、内服薬により保存的加療と手術療法があります。便通を整える内服薬も使用します。
段階別の治療について
1度 | 座薬や軟膏で治療します。 |
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2度 | 座薬や軟膏で治療し、改善しない場合には手術を考慮します。 |
3度 | 座薬や軟膏で治療し、改善しない場合には手術を考慮します。 |
4度 | 手術が必要です。 |
手術
ジオン注射(ALTA療法)
注射で内痔核に硬化剤を注射して治療する方法で、腫れや出血がおさまります。内痔核に適応があります。注射の痛みもなく手術療法と比べると再発する確率が高いです。
結紮切除術
痔核を切除する手術で一般的に行われる根治手術で再発は少ないです。内痔核、外痔核ともに適応があります。術後の痛みがあり、切除する個数が多かったり、範囲が広いと術後に肛門狭窄や排便障害をおこす可能性があります。
輪ゴム結紮術
痔核の根本を輪ゴムで縛り、壊死させて脱落させる方法です。内痔核だけに適応があります。
痔瘻は全員に手術をおすすめしていますが痔核の場合は2度でも頻繁に出血がある方など手術を希望されれば手術になる方もおられますし、3度でいつもご自分で指でも戻しているけど出血もあまりなくご本人も気にならないようならしばらく薬で様子を見ることもあります。