切れ痔(裂肛)

裂肛(切れ痔)

裂肛は一般的には『切れ痔』と呼ばれています。便秘や下痢で肛門に強い負担がかかることで、肛門の皮膚が切れたり裂けたりした状態です。
肛門上皮は皮膚であり痛みを感じる知覚神経が通っているため、切れ痔には強い痛みが生じます。肛門上皮には静脈叢がないため出血量は多くありません。
女性に多くみられ、20~40歳代に好発します。とくに便秘がちな女性に多くみられます。症状は排便時の激しい痛みと出血です。出血は排便時に紙につく程度のことが多いです。排便後にしばらくジーンとした痛みが続くこともあります。
裂肛の好発部位は80%は後方(背中側)で、女性の場合前方(腹側)にみられることもありますが、この2ヵ所以外の部位の発生することはまれです

裂肛は『急性期』と『慢性期』に分類されます

急性期

便秘による硬い便や下痢便の勢いの強い便の通過などで肛門の皮膚が切れて、排便時に傷が痛みます。ほとんどの場合、お薬で治ります。排便時に痛みがあるため、便をすることがこわくなり便をがまんするようになります。便をがまんしていると便秘になり便は硬くなります。硬くなった便が肛門を通ると肛門が傷つきさらに強い痛みが生じます。
このような状態が繰り返されると傷はだんだ硬くなってしまい、肛門が狭くなってしまいます。狭くなった肛門をまた硬い便が通り強く痛む、このような悪循環を繰り返してしまうのです。排便時には『また痛いんじゃないか?』『また切れそうだ』とういう恐怖感が繰り返し起こり、無意識のうちに肛門の内括約筋が緊張してあまりお尻を広げないようにします。
そして『また切れると痛い』ので反射的に肛門が痙攣し、締まっているときの肛門の内圧が高ります(裂肛の人は内括約筋の緊張が高いことが知られています)。便が肛門まできているのに緊張して肛門がうまく開かなくなってしまっており、前なら切れなかったくらいの硬さの便でも切れるようになり、だんだんいい状態の便でも切れ痔になってしまいます。

慢性期

裂肛を繰り返すと創は深くなり潰瘍を形成してしまいます。潰瘍には便などが貯留しやすいため炎症が反復しやすく。疼痛は強くなり、常に痛みを訴えるようになります。何度も繰り返し切れると傷のまわりにだんだんと肉が盛りあがってきます。盛り上がった肉が肛門の中へ出っ張ってきたものが肥大乳頭で、これが大きくなり排便の時などに肛門の外へ脱出してくるようになったものを「肛門ポリープ」と呼んでいます。肛門の外へはみ出してきたものを「見張りいぼ」といいます。
裂肛を長年放置すると慢性化して周囲が硬くなり後に肛門が狭くなってきます。裂肛の患者さんの5%に肛門狭窄が生じます。肛門狭窄の状態になると手術をしないと治りません。慢性の裂肛では細菌が侵入して痔瘻となることもあります(裂肛痔瘻)。

治療

裂肛は進行度に応じて治療方針がきまります。急性期、慢性期、肛門狭窄の3段階に分けられます。

急性裂肛

薬物療法を行います。便通を整える薬と肛門の傷を治す座薬や軟膏などの薬でほとんどの場合治癒します。この段階で対処すれば薬だけで治せるので、放置せずに治療を開始することが重要です。また便秘や下痢が改善されないと切れ痔が慢性化してしまいます。治療で痛みがなくなっても食生活を改善して便秘にならにようにしたり排便習慣を改善して予防をこころがけましょう。

慢性裂肛

便通を整える便秘薬と肛門の傷を治す座薬や軟膏などの薬で治療しますが、2~3ヵ月使っても症状が改善しない場合には手術を考慮します。慢性裂肛では傷は深い潰瘍となっており、「見張りイボ」や「肛門ポリープ」ができているため薬だけで治る可能性は低くなります。

肛門狭窄

肛門狭窄の状態になってしまった場合には薬で治すことはできません。肛門を広げる手術が必要となります。

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